でなりらぼ(あほあほの実)

折角自分土産にアメリカで買ったJETBOIL SOL TI(ソルチタニウム)を、「壊れちゃったんですけど~」って成ケンちゃんが持ってきた。ガスコンなんて「寿命の長い山道具ベスト3」に入る様なもの、今時壊れますか?。で、壊れている場所は2カ所。1つはイグナイター。使い方を聞けば「焚き火する時、薪が濡れてたので強力ライターとして使ったら溶けて固まった」。もう1つは、ガスをねじ込むメスネジのねじ山崩壊。「突然、スカスカになった」そーな。「大丈夫っす、イグナイター使わないから別に要らねぇっス!。でもガス入んないと火がつかないんだよねぇ・・・」。“おもしろい奴だ”と思ってましたが、やばい、こいつは能力者だ、あほあほの実を食べている・・・。 1つ目は無視して、2つ目の原因は「口金がアルミ」ってこと。成ケンちゃんがかわいくて仕方ない僕としては、確かに、ココは悪い。成ケン全然悪くない、いや、少しは悪い・・・。そんな訳で、「研究室預かり」ってことで早速、分解させて頂きます(喜)!。IMGP0046

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確かに、逝っちゃてますね・・・。日本ではまだ発売されていないので、どーしよーもありません。部品など皆無です。日本の山道具屋をないがしろにした罰です。って、僕もSUMO TI(スモチタニウム)あったら自分土産間違いなしですが・・・。

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そんな訳で、清く正しく正規ルートよりZip(ジップ)を入手しました。

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うおぉ~、中身が気になる。気になって何も出来ない!。つー訳で、だめだめの実を食べちゃってる僕、開けちゃいます。「うえ」なんて書いてある所なんて流石、正規品!。

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問題の箇所ですが、こちらは真鍮?、一般的な奴ですね。

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軽量化するためにアルミユニットにするのはイイのですが、ガス片手に“くるくる~”ってヘッド回したりしたらこれ逝くわなぁ。誰でも一度や二度ヤルことですから、タフさが売りの山道具、「こんなんじゃね~」って感じ。気を取り直してSOLZIPでも作ろうと正規品に手をかけたところ、ヤバ、外れない・・・。何という堅牢さだ。

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この構造じゃスナップリングを外しても、上にも下にも動かない、どーすればイイの?。多分、黒プラスチックが鍵なんだろーけど、恐ろしくて押せない。くそー、ガス検め、ココまでしっかり作らなければ認可しないつもりか!。

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ちなみに、こちらはSOLのレギュレーター部分。ドロドロしたモノが吹きこぼれて穴を塞いでも自分でどーにか出来る。でもZIPは外すことすら出来ない。コレで飯を炊く奇特なユーザーなどそーそーいないと思われるが、どちらがイイのだろー?。とにかく、一刻も早く日本で販売開始して欲しいよね!。

<僕はOffモード派ですが、Onでは最高に頼りになります!!

成田賢二山岳ガイド事務所:http://www.narita-kenji.com/

でなりらぼ(切断衝動)

PETZLのVASAK(バサック)LLの穴にLYNX(リンクス)のベール入れてみた。前の金具に当たってしまうので、実際合わせる事が出来ない。起きている金具、切ってみたい・・・。女性の小さく細い靴だど、前爪がチョロッとしか出ないので、なんか凄く良さそーな気がする。LLF持ってる人、前爪貸してくれないかなぁ。LLFユーザーで前コバ無い靴3シーズンブーツ持ってる人は、LYNX(リンクス)買えば、LL化も出来るね。恐るべしLYNX(リンクス)。これからはこのシステムになるんだろーね。ユーザーは期待してイイと思うけど、在庫する僕は背筋に悪寒が走った・・・。IMGP0002

でなりらぼ(山下GUIDE's mission)

先日預かったガイドの山下さんの宿題が完成しました。大先生の持ち込み課題は、職人魂を揺すぶるおもしろいものばかりですが、本人も器用な方なのに、「サジ投げ品」ばかりこちらに回ってきます。そんな訳で、画像だけでは僕の苦労が伝わらないので、「AWAX(アワックス)にファング」はじめます。019

こちら、大先生の作品。いやいや、良くできてるじゃないですかぁ、悪くない!。素材はBD旧バイパーファング、肉抜きして隙間にパテ盛り、カラーリングなんて立派な「ヲタ」っす!。010

でも、本人が分かってるから投げる理由はタダ1つ、「狭いので今一」。そんな時は素材選びからはじめましょう!。こんなの始めっから大体決まっちゃってますが、一応、相性を見ます。001CASSIN X-DRY改(エックスドライかい)もPETZL 旧々QUARK(きゅうきゅうクオーク)もスピッツは4mm板なので、3mmものと言えば、new QUARKです。角度的には、旧QUARKを参考にマッチングです。002

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おー、純正のようなぴったり感!、イイんじゃなぁ~い。ただし、コレは合わせてみただけ。ボルト貫通させ、「取り付ける」ためには良い位置に調整しないとダメ。そんな訳で鉄板に穴が来るように肉抜き。004イイ所まで削り込んだら、ホールして取り付けてみましょう。015

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おー、完璧ジャン!。俺、凄い!。って油断しないで下さい。これからが1番難しい課題、「同じものをもう1つ」です。コレこそワンオフメイキングの醍醐味、今回は本体加工ではないので、「切腹覚悟」とまでは言いませんが、「自腹覚悟」は毎度のことです・・・。

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無事、同じものが出来きて一安心。後は「ヲタ心」を満足させるために自分が納得行くまで手を加えます。とりあえず、穴はシリコンで埋め、1点止めの弱点、「動く」をどーにかしてみる。割り箸詰めたが落ちた・・・。

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方向性は決まったので、後はラムの修正と研ぎ。

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で、完成がこちら。問題の箇所は「3mmボルトを噛ませてグルー盛り」でOKでしょっ。

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そんな感じで、今日もスッキリさせて頂きました。大先生、ありがとう!。でも、この記事読んだ人がどのくらい楽しいのか、考えるとブルーになってきました・・・。

<ヲタ心を満足させてくれる違いの分かるガイドのご用命は>

FREEBLAST MOUNTAIN GUIDES(山下勝弘):http://www.geocities.jp/freeblastmg/

でなりらぼ(じみへん)

だんだん寒くなってきた。外仕事が辛くなってきた。「地味な割に大変な作業」は出来るだけ「インドア」でする様にしている。ただ、奥でゴソゴソ何かしているとお客様には今一伝わらないので作業を公開します。研究室と言うより、工房化しているのでそろそろ新しいカテゴリーでも作ろう・・・。個人的にはどれも素晴らしい画像なのだが、やはり今一伝わらないよーな気はしている。

<アルミスリーブの制作>

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<トゥーベールのリベット打ち>

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<長いものや当たるものは削る>

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でなりらぼ(何で寒いか考えてみた)

基本、僕は忙しい。忙しくない時も忙しい振りをしないといけない。そーしないと些細な事に巻き込まれて、貴重な時間を浪費してしまうから。しかし、PCや携帯から離れられない文明中毒者にとって、それらを捨てる事は「コーヒーを入れないクリープ」より味気ない。で、捨てきれないでいたから「冬黒部横断で快眠する」方法を相談されてしまった・・・。ある程度の答えが出るまで「寒い」が頭から離れない、どーしてくれよーか。

とりあえず、過去の経験から「ふかふかダウンは快適であるが、べちょべちょダウンは糞である!」と「ダウンNG」宣言されてしまった。乾燥室で乾かせる山小屋泊や、1泊2日のテント山行と違って、重い雪をどラッセルして進む長期テン泊では、大敵な「濡れ」は防いでも防ぎきれない超難題である。寒くなる原因としては1,外気温、2,気化熱の2つ。1番は冬なので仕方ない。外気温が伝わりにくくするためには厚着したりレイヤリングで対処する。確かに、「乾いているもの」を使えば解決間違いなし。ただ、「乾かしながら」という事になると、2番が邪魔をしてなかなか快眠させてくれない。勿論、「化繊シュラフ」の選択肢は皆考慮してる。ただ、重い・・・。冷静且つ沈着なてふてふ佐藤ガイドからは「>マニア考察ありがとうございます。結局、寒さに耐えるか、重さに耐えるかの二択ですね。究極の選択です。」っとズバリ過ぎる返事が返ってきた。

インチキ山道具屋としても、一応、リアルインチキはマズイので中綿系シュラフの「温かい且つ、耐えうる重さ」を一生懸命探している。でもなかなない。スペック的に「0℃=32°Fレンジが限界」なのである・・・。更に「Vapor Barrier論」なんか読みふけって色々考えている。「汗を出しすぎず、外気を断熱」が理想なのは分かっているが、この湿気た日本で更に湿気たテントの中で「どーすんだい!」って感じ。 「もう店閉まりますよね、これから行ったら迷惑ですかねぇ~」っとサラッと電話かけてきて22:30分まで居座る、ネタ元の成田ガイドには「温かかそーな」化繊シュラフを見てもらったつもりだが、「これ、キャンプっす、ぷぅ」って笑われた・・・。で、まぁ、これ以上色々考えてもお肌に悪そーなので、1,ライナーをかぶる(ココはポイントで、アルミエマージェンシー系(透湿0)・薄い化繊系(透湿有り)のどちらが良いのか、感覚的には“透湿有り”だと思います。可能性としては、薄手化繊+アルミ+薄手化繊のトリプルが内側からも外側からも水分を適度に吸ってくれてイイのかなぁ)、2,化繊系シュラフ(ダウンはやはり、長期山行でロフトが沈みすぎる)、3,3L透湿系シュラフカバーの3層構造、“タオルケット+毛布+掛け布団”的な感じが良さそーな気がする。「ダブルシュラフ」もアリだけど、吸い代がでかすぎて、重いよね。そんな感じで、今日も電卓片手に重量チェックを繰り返すのだろう・・・。どちらに転んでも忙しい訳だ。

<自分の山も頑張って!>

essential line(佐藤勇介):http://essential-line.com/

成田賢二山岳ガイド事務所:http://www.narita-kenji.com/

でなりらぼ(大人の工作)

零号機の写真が無いので、壱号機から。“DARTWIN(ダートゥウィン)にアンチスノー”です。それにしても、すごく「エバ」っぽいよなぁ~、ダートって。

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零号機素材はプラ板でした。ちなみに、「プラ板」と言っても色々ある訳で、低温下OKな1mm厚PPを使いましたが、「傷が入りやすい」のと「フロントピース形状から固定しにくい」のが弱点で、すぐ諦めてVASAK(バサック)/SARKEN(サルケン)用のアンチスノーに素材変更しました。傷問題はPETZLが素材変更した時点でクリアー出来ましたが、問題は「固定」と「手間」です・・・。

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最近「手抜き疑惑」があるので、今日は特別に休日返上でラボ開設です。では、“DART(ダート)にアンチスノー”はじめます。

1,とりあえず、アンチスノーをはめ込んでみて、余っている部分を罫書き上手に切断。

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2,上手く収まったら裏返して、干渉するパーツに罫書きを入れる。

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 3,いらない所を切ったり削ったりして排除する。絶妙な堅さなのでいつもドキドキです、「力がいる=指ザックリ逝く」ので注意して下さい!!!。原発考えた人よりカッターナイフ作った人の方がどれだけ人類に貢献してるか・・・。

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4,微妙に調整して上手く収まったら固定です。結論から行くと下の状態。「高圧旋盤でホールしてリベット止め」もアリですが、普通の旋盤ではまず穴が開かないのですぐ諦め配線を止めをカットしながら固定。この方が「1.5台持ち」も可能なので最終的には便利かと。ちなみに、この状態は見た目は美しいのですが、配線止めはしょっちゅう外れます。クリップの所にダクトテープを貼ってしまった方が実用的です。

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例えば、八ヶ岳で「上は壁、下は氷」なんてよくある話ですが、バサック(デュアル平爪)とダート(モノ縦爪)をそれぞれ持って行くのも何なんで、ヒールピースが同じなら、フロントピース2個とセンターバー1個とヒールピース1個の「1.5台持ち」で行けば少し軽くなる。その時には分解しないといけないので、この位の出来映えで丁度良い。

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ちなみに、アンチスノーが3千円チョット、作業時間は限りない手作業でなので4、5時間掛かります。小声で「片側3千円ぐらい工賃もらってイイですか?」って聞くと、「え~ぇ~」って大きな声で返事されますが、自分の指が「ズバっと」いった時のリスクとしてはお安いモノです。まぁ、LYNX(リンクス)が出たのでこの仕事は廃業しよう・・・。

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でなりらぼ(クランポンチューン)

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11クオークは以前扱ったので割愛して、今日のお題は「サイボーグのMONO化」、難度Aの作業です。DARTWIN(ダートゥウィン)の研ぎと縦爪修正もついでに載せておきましょう。

「作業難度A」=「お子様ダッシュ」なのですが、「超難題」が1つだけあります、「パーツの紛失」です。「そんなのはじめから付いてなかった」的なことを言う「お子様以下」の大人が多数おりますが、皆さん必要な時が来た時のために、付属品の管理はしっかりして下さい!!。ちなみに、こちらのお客様は「完璧」。

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では始めます。

1,ネジをゆるめてフロントポイント、アンチスノーを外す。

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2,アンチスノーをノコギリ・カッターナイフで切断(「切る箇所」にマークした方がイイです。間違えると違う物ができあがります)。

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3,チョット小さいのと1番小さいスリーブで隙間を埋め、チョット短いネジネジで止めたら完成でございます。

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それにしても、カッターナイフを考えた人は天才だ。ただ、この年でこんなに工作するとは思わなかった・・・。

次に、縦爪の研ぎ方。先ずは裏から。

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次に側面。

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出来上がりはこんな感じ。上が未研、下が完成品。

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締めはDARTWIN。刃が細かいので研ぎすぎにご注意下さい。

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でなりらぼ(Extreme)

この業界にも息が長い「伝統工芸品」的な物が存在する。今日紹介するのは、berghaus(バーグハウス)YETI™ INSULATED(イエティ インサレーティッド)の装着方法でございます。

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僕が始めて見たのは20世紀であったのは間違えないが、ゴアプロシェル+プリマロワン仕様の物が出来ていたとは・・・、完全に忘れていたのに進化してやがる!。プラブーツ→シングルあったブーツと冬靴は進化していますが、“オーバーシューズの最終進化形”とでも言いましょうか、ここまで来ると偉大です!。しかし、そもそもこいつには「装着難度D」という猛烈に面倒な作業を伴うため、マニアの間でも「使ってみたいけど使わない」という評価微妙アイテムでございました。そんな折り、担当者のネギ坊が「画期的装着方法をあみ出した!」というので、早速試してもらいました。

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IMGP00321,ブーツに合ったサイズを用意して根性で伸ばす。

2,つま先を露出させるためにガンガン押し込む。IMGP0033

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 3,踵側に出来たたるみを根性でヒールに掛ける(金具を使ってテコの原理で落とし込む感じ)IMGP0036

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4,そんでもって前側のゴムをつま先に根性で掛けていく(この時、ストック・怪しげなL字金具を使うことが“画期的”なのである!)。IMGP0039

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5,そんでもってゴム位置を調整したらできあがり!、おー、確かに難度B位だぁ~。ドライヤー使ったり根性だけでどーにかするのとは訳が違う、偉いぞねぎ坊!!。IMGP0047

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 研究結果はAAAで大満足ですが、問題は「こいつをどこで使うか?」ってこと。個人的には「手間と効果」を考えても、普通にダブルブーツをすすめるだろーし、横にプリマ入れたところで雪や氷の接地面には何もないので、ダブルブーツの様な効果は望めません・・・。やはりオーバーシューズはオーバーシューズ、「シングルブーツのダブルブーツ変更キット」にはなりません!。まぁー、アレですよ、アレ。「6000Mクラスのダブルブーツの防寒対策」とか「どーしてもシングルブーツしかない人の気休め」とかそこそこ使い所はあるじゃないですか!。彼の努力をかってくれる人は、商品も買って下さい!。バーグハウスですよ、バーグハウス!!。

でなりらぼ(メンテ)

こちら、MAMMUT(マムート) Monolith GTX(モノリスGTX)。以前にも見たよーな気がしますが、別個体です。やはりクライミング系の方なので、フロントに負荷が相当来てます。電話でお話しして思い出す限り、確かに「1年チョット」の使用です。車同様、「所有期間と走行距離」は比例しませんが、「いや~、今までで1番良かった、凄い気に入ってる!。」なんて言われちゃうと、道具屋冥利に尽きますねぇ~!!。“ガンガン乗り回して下さい!”って感じ。そんな訳で、ヘビーユーザーの皆様、寒くなるこの時期は暫く使わなくなる夏靴のメンテ期間でもあります。時期が来て慌てる前に必要な方はやっておきましょう!

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