沢登りのアシモト1~ふえるとそーる~

 初回は『フェルト』について書く。
 フェルト底の渓流シューズは、沢登りにおいて概ね主流であり安定したフリクションが確保できるため、最初の一足目におすすめである。
 以下にソールの特徴をまとめた。

P51120331.フリクション
 フェルトの摩擦力はその水はけの良さによって得られる。何故か?それにはまず『濡れた床や氷の上だと何故滑るのか?』を知る必要がある。簡単に言うと靴の接地面と床面との間に水膜が発生し、摩擦力が無くなる事が原因だ。もっと解りやすく言うと、ビー玉を敷き詰めた床を歩いてすっころぶようなものだと考えるといいだろう。
 つまり、水はけが良い=水膜を作らない=摩擦が生まれると言うことである。その為濡れた足場に摩擦力を生み出すことが可能であり、仮に十分なフリクションが得られない苔の密集したヌメヌメの岩でも、多少のフリクションを確保することが出来る。
 しかし、泥など細かい粒子がフェルトの生地に入り込むと水はけが悪くなり、接地面の摩擦力は極端に低下する。その為、行動中もしばしば足踏みするなどしてフェルト内から泥を洗い出す必要がある。余談だが、フェルトのモジャモジャによる接地面積の大きさは摩擦力の大きさとは関係無い。
2.耐久性
 摩耗はするが、フェルトが消しゴムの様ににどんどん薄くなるだけで、フリクション性の低下は殆ど無い。しかし下山等で使用するとその減りは凄まじく1年足らずで下地が出ることは間違いない。長く使い続けたいのなら下山用の靴を用意するのが無難だろう。
P51120471cm程度のフェルトが貼ってある。これがあるうちは大丈夫だ。
3.メンテナンス性
 活動後の洗浄だが、フェルトの場合、ブラシでゴシゴシ擦りまくらないと生地に詰まった汚れを落とすことは出来ない。勿論、完全に汚れを落とすことは出来ない。

以上。