沢登りのアシモト3~THE WARAJI~

  さて、ソール編3回目は『藁』ソール。つまり草鞋(わらじ)について書く。何だか最近記事にキレがないとか楽してるとか何とか言われているようだが、少し気にしつつちょっと頑張る。まぁ結局ダラダラなげーんだよと一蹴されてしまうわけだが・・・。
 今までの物と打って変わってかなり古風な、ギアというのも恥ずかしい(?)草鞋だが、まずフリクションについて。まず草鞋と言えばその歴史は古く、日本では奈良時代の頃より存在すると言われている。その足にフィットする構造は、旅や山登りの必需品として広く親しまれてた。ちなみに、最近の人は知らないと思うが草鞋(わらじ)と草履(ぞうり)は別物。草鞋はくるぶしまで締め上げて固定するが、草履は鼻緒のみで固定するものだ。まぁかくいう私もさっきwikiで調べて知ったんですけどね。
 で、なんで草鞋かというと実はこの草鞋、沢登りにおいて最強のフリクション能力を発揮するとされていて、ラバーソールは勿論、フェルトソールが世に出るもっともっと昔から使用されてきたのだ。かの有名な沢登りのパイオニアである「大阪わらじの会」からもわかる。基本的にはやはりフェルトと同じく排水能力の高さによってフリクションを得ているものと思われる。また草鞋は藁の繊維によってもフリクションを得ているように思える。
 ところで、その最強のフリクションもさることながら、その姿にはフェルトやラバーには無い、『自然との共生』という言葉が見いだせるのではないだろうか。沢の終了点に捧げられたその草鞋からは「最後まで安全に遡行することができたことを山の神に感謝する」そんな気持ちが感じ取ることができる。果たして、現代登山において『自然との共生』や『山への感謝』というものが存在するのだろうか。ゴミを捨てないだとか植物を大切にするだとか、確かに大事なことではあるがそんな表面的な共生より、太古の人々が自然を畏怖し尊敬していた時代の精神こそ最大の共生と言えたのではないか。私は草鞋を通して現代人が忘れてしまった、大切な何かを取り戻してほしいと願っている。
 さて、話を戻して耐久度について言えば、もはや使い捨てである。それどころか一つの沢で二足消費することもあるのだ。それほど耐久度は低い。その分最強のフリクションが得られるのだから、ある意味F1カーのタイヤに通じる所もあるような無いような。
勿論使い捨てであるからメンテナンスの必要はない

 登山のプロショップ、デナリも草鞋を置いている。決してホコリを被って棚の底に忘れ去られているなんてことはない。しかし、在庫も限られているので早くしないと無くなってしまうかもしれない。
・・・いや、もしこのブログを機に本当に草鞋ブームが起きるかもしれない。草鞋の社会的大ブームにより田畑の多面的機能の重要性が見直され、兼業農家の増加、それにより食糧問題が解決され、更には雇用問題も解決されるのではないでしょうか。しかし、草鞋のブームは同時に沢登り人口の急増も予想されます。沢の環境問題や沢でのマナー違反、安易な入渓による事故の増加などが問題となるかもしれません。沢登りの普及をとるか、今まで通りの静かな沢登りを大切にするか・・・。いやー難しい問題ですね!
PB080267
わらじ @998
草鞋をはくには足袋も必要だ。
PB080269
montbell:沢足袋 @3,700
力王足袋 @2,700