部分年表(ぎあくえ)

クイックドローのテープ部分年表。理由は色々、現役引退アイテムを並べてみました。

ダイニーマの登場で年々細くなりましたが、「太ければイイ」訳でも「細ければイイ」訳でもございません。用途によって様々な選択肢があるので使い分けるのが正解。流石に「激太」は山奥まで連れて行きたくない。

ちなみに、現在の最細はやはり「割り箸1本」を超えた「割り箸1/2サイズ」、EDELRID社のDyneema Draw 8mm(ダイニーマドロー8mm)ですかね。

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「テープが逝くかゴムが逝くか」の場合、大抵「ゴム」です。安パイな10mm内蔵型を選択しても、簡単に「プチッ」て切れて、おたまじゃくしを眺めてガッカリするのは目に見えている。

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その点、外周型のコイツにしておけば、激細とは言え、「テープとゴムの寿命」のバランスがとれている気がしてならない。

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「モサモサ」も気分悪いが、やはり、「プラプラ」はそれ以上に許せないので、たかがテープ1本新調するにしても、構造チェックは必須です!。まぁ、技使えばどーにでもなってしまうあたりが、「捨てられない理由」だったりする。

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変わり種ヘルメット1

EDELRID社の「折りたたみヘルメット」は以前紹介しましたが、今度は、「シールドつき」入荷です。これも以前チョット紹介しましたが、一応、新製品ですから。こちら、TRANGO社 Comet(コメット@9,800)でございます。

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アイスクライミングでのシールド着用率は年々増えておりますが、如何せん、邪魔。コイツは「本体収納式」なので便利と言えば便利。ただ、「完璧ガード」とまでは言い難いサイズですが、「サングラスサイズ」はあるので、「無いよりは良い」事は間違え無い。勿論、普通のクライミング中にだって、邪魔な時は収納すればイイのでここは高く評価出来る。

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P5011445操作性は、1,ワンハンドで調節可能な「ダイアル式アジャスター 」の採用、2,フロントセンター部に配置した「サングラスレバー」の動きはスムーズで使いやすいね。サイズは、“53-64cm”と書いてありますが、64cmは言い過ぎだと思います・・・。

ヘルメットも、皆さんサイズやデザインで悩む「手強いアイテム」ですが、クライミング-メーカの物なら、それなりの基準に達していますので、最終選定ポイントはズバリ、「自分に似合うか否か」です!。大きい鏡があるのでご自身でご確認下さい。

で、メーカー担当者の方、是非オプションで薄い色(オレンジ指定)出してもらうようご交渉下さい!。

時代の最先端(ぎあくえ)

EDELRID社来てる!、他社にはない個性的魅力的な商品がチョイチョイある。で、今回ご紹介するのはMega Jul(メガジュル@3,990)ではなく、Micro Jul(マイクロ ジュル※日本販売未定)。それにしても、画像に馴染みすぎだ・・・。

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Micro Jul(マイクロ ジュル※日本発売未定)のロープ対応径ですが、なんと「6.9~8.9mm」という驚愕のサイズ。要するに、「ツイン・ダブル専用」という、完全に割り切った男らしいさに道具屋さんはヤラレル(一部、8.9mm Single企画ありますが・・・)。

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画像左:Mega Jul(メガジュル@3,990)、画像右:Micro Jul(マイクロ ジュル※日本販売未定)。

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実際、自分でいじくってないので分かりませんが、いじくっている営業担当と研究員からは、「ロープ操作の際のノッキング」や「カラビナが傷つく」など、事前情報が入っています。でも、勘違いしないで下さい。そーゆー事をコイツに求めるなど言語道断!、スムーズな操作優先ならKilo Jul(キロ ジュル@3,255)に求めましょう!。見れば分かるジャン、このチープな薄っぺらい金属はP社の初代REVERSO(ルベルソ)やREVERSINO(ルベルシーノ)作りですよ!。そりゃー引っ掛かったり傷ついたりするワナ・・・。

で、今回僕が期待するのは、最近の「細くて性能の良い、けど早いロープとの戦い!」の武器として最強な気がしてならない!。なぞり生活が増えてくると、「笑顔で記念撮影」もしてもらえて非常に良いのですが、「今、写真撮るから、落ちないでねっ!」なんて笑えない状況に陥る。そんな時、「カツっ!」って止まる確保器の方が、優秀なビレイヤーより更に優秀な気がしてならないのは僕だけでしょーか?。

僕の知る限り、現状、対応径「6.9~8.9mm」のビレイディバイスは他に思い当たらないし、ロープの進化は止まらない!、更には落ちてく僕も止まらないのではシャレにもならないので、お願いです、どーかバシッと止まって下さい!!。構造的には時代逆行ですが、デザインといいロープ対応径といい、時代の最先端じゃないですか!。

ただ、やはり操作に癖があるので、最新鋭を求めるNowなGuyは補習授業も受けておいて下さいな。懸垂下降にも「チューバーモード」と「ロックモード」なんかあったりして、多機能モデルは難しいッス。

「お悩み相談所」みたいなモノです、GW前改め中の山道具屋なんて(その4-1)

「レイヤリング」の話は、「足し算と引き算」なので、結局全部する事になる。ちゃんと読んできた人なら分かるハズ、いや、分かって欲しい!!。あぁ~、分からん奴は再履修!、お説教聞きにお店来て下さい(笑)。

で、本日から「トップス(シェル)」についてのお話し。「何時着るか?、今でしょっ!」とか「マイルだゼぇ~」とか、適当な事言ってほぼ勢いで商品が売れれば道具屋も気楽な商売ですが、現代シェルはそんなに簡単ではない。「カッパ」とか「ヤッケ」の時代は良かった・・・。そんな訳で、最新鋭シェル解析は何回かに分けてご説明したいと思います。で、今日はソフトな路線から・・・。

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< トップス(シェル)」の話、ソフトシェル編>

一昔前までは、僕は「アンチ ソフトシェル派」でした。理由は「使い所が分からない」からです。ハードシェルに比べて、重いわ防水性能ないわ、ここはヨーロッパや北米ではございません!、「湿気大国日本」です!!。

なんて事はこの間までの話。最近では500g台→400g台→300g台→200g台まで出てきました!。更にハード事情も変化してきて、組合せが豊富なこと。で、先に言っておきますが、「軽ければ良い」てっ事ではない、単純な話、「各社様々なソフトシェル素材を採用して事で、ソフトシェル自体が、用途や気候の変化に対応する様になった」だけの事。

「レイヤリング」の本質は「着重ね」、そもそも、「1枚で全部カバー」など不可能な訳で、結果、「程々」の積み重ねで「快適」を生み出しているの過ぎません。ですから、「分厚いかさばった鎧は不要」と言うことになります。

パワストの様なフリース系素材は「保温」を主たる目的にしていますから、寒い時期に着れば「温かい」、温かい時期に着れば「暑い」の普通で、そんな時こそ、保温効果を押さえ、程々の防風性と気持ち撥水性を持たせた、ソフトな上着は正にこの時最適!、「何時着るか?、今でしょっ!」、勿論、秋から初冬期にかけても有効です。

要するに、「ソフトシェル」などと言う物は、「大した防水・防風性や保温効果に特化したものではない“グレーゾーン”ウエア」ですが、よくよく考えてみて下さい、山行く時が何時も大雨、台風ですか?。極寒の厳冬地でこの厚さで歯が立ちます?。結果、僕らが快適に行動出来る環境は“グレーゾーン”までで、それ以上になれば、高い防水・透湿・防風機能を備えたハードシェル着ますし、寒ければ分厚いダウンでも着た方が余程よい。グレーゾーンで遊ぶには、グレーな上着の方が取り回しが良いのです!。

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で、形ですが、JKTタイプの物とフード付きタイプの物があります。それぞれの利点・欠点は、フード付きのタイプは不意の雨でもフードを被ることで髪の毛が濡れない(本格的な雨は雨具着て下さい)、寒い時は襟元も温かい。JKTは襟元スッキリだけど、不意の雨に弱い。肩掛けしたアックスが引っ掛かからないで取り出せる。まぁ、結局は好み、「用途や気候の変化に対応」してご自身の好きな方選んで下さい。

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更に、最近のソフトシェルは「ポケッタブル」な物まであるから驚き!!。「ウインドブレーカーみたいな物アリます?」的なものなら、こっちの方が優れている気がしてならない・・・。

デナリさんでは「重いソフトシェル」はお安く売られている。乗りと勢いで仕入れてみたものの、所詮山専、自分ですら使い道が分からない道具など売れるハズがない。まぁ、イイとこバイク乗りの人にでも目を付けて頂ければ本望です。

そんな訳で、雨具をはじめ、「ハードシェル」をお持ちの方は、「あまり厚く重くないソフトシェル」はトップスで羽織るにはこの時期最適!。勿論、レイヤリングによって、真冬のアイスクライミングなんかにも快適に使いこなせます!。「おや?、“グレーゾーン”ウエア意外と使える!?」なんて思ってしまう程便利ですので、仕入選手権に勝ち残った商品を是非チェックしに来て下さい。

見るのも着るのもタダですが、本気で欲しい人は自分の用途に合ったものをバシっと選び抜きます!。マシンガントークにやられて「コレ下さい!」と言った瞬間、金銭・対価の請求がはじまりますので、ご注意下さい。

結局、「お悩み相談所」シリーズはGW前にも中にも終わず仕舞いですが、今年のGWは天気が不安定ですので、直前まで準備は怠らないこと。「現代シェル考察」は重箱の隅をつつく様な話ばかりなので、実は一番厄介。もう少し書くつもりですが、GW明けが富山で雪と氷と岩の世界に隔離予定なので、この件はしばらく放置になりますけど、帰って来たらまた書きますね。

『岳人』様、スミマセン!。「こんなブログ書いてる暇があるなら、この前のウエアの原稿出せ!」って話ですが、へーき、へーき。イイ記事書くためのUPですから(笑)。では。

「お悩み相談所」みたいなモノです、GW前改め中の山道具屋なんて(その3-2)。

2回目の「ミッドレイヤ」(中間着)の話。今やトレーナーやセーターを中間着で使う人は、山業界では捜索困難だと思われますので、“フリース”的な物で話をしていきます。まぁ、時期が時期なので、使うか使わないかは別の話ね。

< ミッドレイヤその2:フリース類について>

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ベースレイヤ→ミッドレイヤその1(ベスト)まで、タイトな着用をオススメして参りましたが、ここでやっと少し余裕がある着用が許されます!。生地厚のある素材と大きな空気層を作ることで、保温効果を高めましょう!。とはいえ、ある物全部着よーとしないで下さい。今は「冬」ではございません!、「春」ッス、「春」。なので、この時期だと不要かもしれませんが、天候や山域に応じて、着用して下さい。

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<素材の話>:で、“フリース”的なもの話ですけど、ユニ○○10枚分以上の値段ですが、どーせ1枚しか着ないので、「それっぽいの」よりは信頼性が高い機能性素材、POLARTEC®社のPOWER STRETCH®(パワーストレッチ)やTHERMAL PRO®(サーマルプロ)やPOWER DRY®(パワードライ)をオススメします。ちなみに、僕はここにPOLARTEC®社のPOWER STRETCH®を持ってきます。

理由は、ベースレイヤにパワードライ着て、ベストでサーマルプロ着て、また同じだと芸がないので「パワーストレッチ」。も、アリですが、パワストは他のポーラ素材に比べ、伸縮性が高く、表面の生地密度が高いため、風や水に対する心配が減少されるので、中間着として優れています。

勿論、水産事業部で「年末の日本海」や「2月の新島キンメ」をヤル時は、パワストでは寒っくてダメ・・・。モコモコなハイロフト「サーマルプロ」クラスを着用して更に生地厚・空気層の厚みを作らなければ、運動量の少ない「おっさんフィッシング」では凍え死にます。ですから、そんな時は間違え無くパワストは着ません。

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<形(スタイル)の話>:「ジャケット」やら「プルオーバー」やら「フード」の物など、形も様々ですが、フード付きの物は襟元が温かいうえ、P社のR1 POなどはバラクラバの役目までしてくれたり便利。反面、フードだらけになるのも邪魔な時があったり・・・。また、POはハーネス付けたりする人はZipperが邪魔にならずイイのですが、「羽織る」と言うより「着る」なので、温度調節がJKTよりしづらいとか、色々ある訳で、状況に応じて使い分けるべきですが、「ミッドレイヤで破産・・・」を避けるために、先ずは選ぶなら、汎用性が高いのはやはり、JKTでしょーな。

<厚さの話>:先程もちょっとお話ししましたが、冷気がぶつかっても、生地の厚や空気層の厚みを上げることで、冷気の皮膚伝達が防げます。ですから、運動量の少ない「おっさんフィッシング」ではハイロフトなサーマルプロ、そんなモン着てたら「動けないは暑いは役にたたん!」なアクティブ登りなら伸縮性の高いパワストがおすすめでしたが、GWでしょ!?、そんなモン要ります?。イヤイヤ、分かりません!前半戦で上高地で足止めを食らった皆様、そーゆー事もある。油断大敵です!。

で、個人的には「わざわざ」の必要性は感じていませんが、例えば、マニア視点のP社アイテムで言えば、「ベース:cap3→ミッドその1:R2 VEST→ミッドその2:R1 JKT」なんかは、「残雪期の春山!」って感じがしてセンス良いよね。「TEIJIN(だったよーな?)」→「サーマルプロ(と最後パワスト追加でした)→「パワードライ」でバリエーション豊富な素材で飽きも来ない!。

ちなみに、僕が「犬フリース」と呼んでいる「この時期に最高です!」的などことなくオイルっぽい薄手のフリースなら、ユニ○○のフリースの方が余程空気層が作れると思う。多分、「毛手」感覚でフリース作るのはナイスだと思うけど、使い方が違うと思う。メーカーの担当者に「平野さん、“犬フリー”って新しい素材ですか?」って聞かれた時は笑えたけど、中間着の主たる目的は「デットエスペースア(動かない空気の層)による保温層の形成」であって、防風性とか求めるなら、この後の「シェル」に期待しましょう!。「あぁ~、“シャンプーしてない犬の毛みたいなフリース”ってこと」って説明しても言わんとすべき事は勿論伝わりません。

世の中便利になってきたので、「インサレーション系持ってるから、フリース置いていくわ」でこの時期済むまで素材は進化しています。僕の知る限り、僕の回りにお金余ってる人はおりませんが、要らない物はいっぱい持っている人はいっぱいいます。道具屋さんとしては、「一撃必殺、一極集中!」ガラクタ収集するなら、ホントに使えるお気に入りの1枚を大切に使って欲しいモノです。イイ事言ったし、今日もおしまい。

Z系ポール集合!(ぎあくえ)

「ビバGW!、ビバ商売繁盛!」、スミマセン、宣言通りストック記事を出させて頂きます。マニアックな話ばかりなので、1日4,5組の相手が限界、「過剰接客」ではなく、「目には目を、本気には本気で!」(ココ重要)ですから、皆さん、滞在時間長い。その上、スタッフのPCが飛んで電気屋まがいの作業が追加されるは、ロクでもない・・・。で、言い訳もしたところで、本日のネタスタート。

店内のZ系ポールを集合させた。他にもあるけど、まぁ、どーでもよい(ココ重要)。

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BDからは太くて丈夫な4シーズンモデル、「ウルトラマウンテン」シリーズも追加ですが、デナリさんが「やや」以上の年齢層の皆様に支持されている以上、宣言通り、男らしく在庫しない

BDの若干の仕様変更についても、就活に忙しい自称4回生の山ちゃんが説明済みだし、先っちょ問題は解決済みなので、BDのZ系ポールへの乗り換え検討中の諸君、サラッと行きましょう!

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が、LEKIの新製品「MICRO VARIO CARBON(マイクロバリオカーボン@23,100)は新ジャンル確立!、「長さ調整可能なカーボン製Zポール」です!!。BDのカーボン系ポール「ウルトラ」シリーズの「サイズ調整不可」は、僕の様な心配性な人間にとっては、「急な下りど~しよ~」的な不安要素アリな存在でしたが、マイクロバリオカーボンは110cm~130cmまでサイズ調整可能、出たとこ勝負で適当に長さ変えれば良いので気楽。なので、「サイズ調整が必要、且つカーボン好き」な人は、ややお高いけど、コレだね。勿論、先っちょのバスケット変更は普通に出来ます。

「どれが何グラムで、仕舞寸が何cmで・・・」なんて事は検索能力を駆使して自分で調べて下さい。「どれがイイですか?」的な話も「自分の使用目的に合った物」としか言わないので、好きにして下さい。ただ、自分で使う道具です、納得がいくまで考えて考え抜いて選べば後悔ナシ!、野望と妄想で悶々とした日々をお楽しみ下さい(笑)。「ダメだぁ~、考えれば考えるほど分からなくなって来たぁ~」とド壺にはまった人はご来店下さい。マシンガントークで説得してみせます!(笑)。

ストック記事がストックの記事、お後がよろしいよーで。では。

「お悩み相談所」みたいなモノです、GW前の山道具屋なんて(その3-1)。

今日は中間着、「ミッドレイヤについて」です。基本、保温層になるアイテムの話。

< ミッドレイヤその1:ベストについて>

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体幹部には心臓をはじめとするメイン機関の具材が詰まっておりますが、エンジンが暖まらなければ暖房の利きは悪いので、僕は、「4畳半理論」から「ベスト着用」を推奨しています。「あぁーあ、もう訳分からない話が始まっちゃたよぉ・・・」と思う人は教科書見るかライブで講義聴きに来て下さい。

p社の伝統工芸品「R2 Vest」が消えて早2年(ぐらい?)、細かい事言い出せば「Fit変更前のすばらしいR2 Vest」が無くなって早4年(ぐらい?)、「100枚ぐらい出せば別注してくれる?」と営業担当に聞いたら鼻で笑われました・・・。デナリさん規模で1アイテムに100万以上のストック在庫を積み込む覚悟は普通理解されない。

「お金で解決」は小銭では解決出来ないので、他あたることにしたが、「それっぽいの」は多々あれど、素材・生地厚・カッティングやら、ツボを押さえた逸品を探し出すのは結構難しい。そのコレですら来期廃盤!、だから買い占めた

ほぼ愚痴になってしまいましたが、戻ります。兎に角、ベースレイヤのすぐ上に体幹に沿わせたベストを配置することで、効率よく熱を保持出来ます。その上にフリースの様なもので、デットエスペースア(動かない空気の層)を作れば「薄着にして温かい」効率良いレイヤリングが実現できます。

また、この時期ですと「着すぎて暑い、脱いで寒い」の綱渡りを繰り返すのですが、体幹部分の保温がしっかりしていれば、全身を温めることなく、程よい感じでぬくぬくしていられます。ですから、ベストは「ウエア」というより「暖房器具」、ギアです(笑)。なので、この時期は下からベースレイヤ→ベスト(ミッドレイヤその1)までは外さず、その上のフリース(ミッドレイヤその2)で温度調節した方が「アイドリングからエンジン全開」まで効率よくこなせます。

また、ベストはサーマル系・ソフトシェル系・インサレーション系、3つに大別できますが、季節や用途に応じて使い分けるのが普通です。更に、素材やら生地厚やらカッティングやら、道具屋チョイスのウエアはこだわり所満載!。でも、たまに心がゆらいで「かわゆい」のも忍び込ませてあります(笑)。

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↑こちらら、POLARTEC®社のThermal Pro®素材のベスト。毛布の様な毛並みのフリースを用いることで、温かい空気が貯まる表面積を確保。

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↑「保温」主たる目的としたサーマル系素材とは異なり、POLARTEC®社Power Shield Pro®は伸縮性に優れたソフトシェル素材。「撥水性・防風性」機能が優れている。

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↑Albany International社のPrimaLoft®ONEを封入し高い保温性、ポリエステル素材で防風性を実現した「インサレーション」モデル。サーマル系・ソフトシェル系ベストに比べ温かいことは確かだが、透湿性・伸縮性に欠けるので、レイヤリングにおける「積極的中間着」と言うより、シェル的要素も強くなる。

で、今日もこの時期に向いているアイテムですが、やはり、インサレーション系は余程寒くない限りオーバースペックかと。動きがある登りなら、透湿性・伸縮性に優れたサーマル系・ソフトシェル系ベストを温度や状況を判断してレイヤリングするのが好ましい。この時期の4畳半の暖房は設定温度25℃は高すぎです(笑)。

昔の猟師が着ているよーな毛皮の物、フィルム時代のカメラ親父が着用していた物入れ着、「ベスト」と名のつく物は多々ございますが、勘違いしないで下さい、今日の講義をちゃんと理解していれば、それは「それっぽいの」以前の「全然違う物」です。まぁ、実際お店で「スミマセ~ン、私に合うのはどれでしょ?」と聞けば、デナリさんでは正しいアイテムとサイズを着用させて貴方の体に直接教え込むので、カタログ見て2次元ヲタしてるよりも早く「ベスト道」を極められますので、ご来店お待ちしております。

今後の流れとしては、中間着その2→トップス(シェル)を書きますが、フリースの話は適当にこなして、シェルの講義は少し厚くしましょう!。ですが、ヤバイ、いよいよGW前で本業も忙しくなってきたので、こんな事して遊んでいられません!。あぁ~あ、やっぱり連休前にコンプリート出来なそーです。勿論、店は暦通り。日曜祝日は店はお休みですから、ココまでの話で必要な物がある人、今週は土曜日まで営業!、Don’t miss it!!。

「お悩み相談所」みたいなモノです、GW前の山道具屋なんて(その2-2)。

今日は昨日の続き。「ベースレイヤについて~画像編~」でございます。写真だけ勝負するつもりでしたが、「脱、かあちゃん!」目指して文章も書きます。分かっている人は必要ございませんが、あほブログとはいえ、僕の労力を想像して下さい!、悩み多き方々は絶対最後まで読んでみて!。

<形状について>:半袖・長袖は分かるでしょうから、「クルー(丸首)・Zip」です。クルーのイイ所は「襟元スッキリ、首への圧迫感なし」です。Zipのイイ所は「暑ければ開放・寒ければ閉めるで温度調整楽々」です。「クソ」がつく温度帯では、長所を活かしきる事が出来るので、実戦実用志向の方は、Zip系を先ずオススメします。

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<生地の厚さについて>:先ずは「厚い物か薄い物」がオススメ。中取って「中厚」なんかにしてしまうと、寒くても暑くても使い勝手が悪い、「帯にも襷にもならない、中途半端な物」を手に入れることになります。でも、皆さん好きですよね~、そーゆーどっちつかずの物。その度「○○に騙された!」的な事おっしゃっておりますが、イイ所取りしようと自分で弾いたそろばんで転けているだけです(笑)。「全てが拾えないなら何を捨てるか決めろ」って事。今必要な物が何か分からない人は、「良さげな物」しか手に入りません!オススメの厚物系は、POLARTEC®社のPOWER DRY®系素材を使用したものが「信頼と実績」あり。POWER DRY®もGTXの様に細かく分かれていますので、もっと勉強したい人は色々調べてみて下さい。オススメ薄物は「兎に角薄くて涼しい」を探して下さい。「DENALI杯争奪、仕入選手権!」を勝ち抜いた商品は店頭でご確認下さい。

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ちなみに、ウチのスタッフと話しする時に「中厚」のイメージをするならこちら。Smart Wool社の「ミッドウエイト」やPatagonia社の「Capline3」。厚さが値化されている訳ではないし感覚的な要素も強いので、相手に欲しい物を伝えるには、基準が明確であることは重要。

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<素材について>:現代っ子なのでケミカルな物大好き!。でも、石油も天然素材なのか・・・?。白衣でなくツナギ着て仕事するインチキ山道具屋のレベルはこんなモンですが、何と言っても化繊の良い所は「構造バリエーションが豊富」というところでしょーか。

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上はPOLARTEC®社のPOWER DRY®系素材で、特徴は肌あたりが「面」ではなく「ドット(点)」であたる立体構造。厚みがあるドット部分と薄い部分により、汗抜けも良く暖かい空気が程良く貯まる。下はPatagonia社のCap3で「ハニカム構造」。パワードライの2.5次元版!?。まぁ、複雑な折りをする事で、均等な折りよりも何か優れているに違いない!!。

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そんな訳で、折角、機能性素材を堪能するな「POLARTEC®社」の様な、分かり易い素材を採用しているアイテムからスタートして下さい。勿論、日本が誇るTEIJIN社素材採用製品も数多くありますが、僕は繊維屋ではないので分かりません。多分、Cap3もそーだったよな?。

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勿論、ナチュラルはナチュラルで「安心の素材感」でイイのですが、物足りない実戦実用志向の方の中には「組合せ」で更なる進化を追求している人もいます。上は、メリノにfinetrack®社のフラッドラッシュ®スキンメッシュをドライレイヤー®として用いることで、単純な折りを補う技。コレはコレでアリですが、「ウール+化繊」=静電気起こりまくり、2アイテム購入でコスト高、どちらもお客様に敬遠される要素もあります。それにしても、ファイントラックは「®」が多い・・・。

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「ならば!」、と満を持して出てきたのが「ハイブリッド」ですが、「どちらつかず」な素材感が、僕に言わせれば、「とりあえずビール」的な感じで可もなく不可もなく。「自己主張が強い個性的な商品」に魅力を感じる僕としては、その素晴らしさが今一理解できていない。

で、いよいよ「何着ればイイですか?」の核心ですが、「沖縄500M台と北海道500M台」どちらを基準にしましょうか?。やはり、同時に語ることは不可能なので、何となく伝わりそうな感じで。

<残雪3,000Mクラスにオススメ>:基本的には、この冬に使っていたものでOKです。それを単体で着て、寒ければ今まで使っていた物をドンドン足していく。僕ならパワードライ。

<残雪2,000Mクラスにオススメ>:入山地点と山頂での温度差が出がちなこの高さでは、厚いパワードライでは、オーバースペック感があるので、それよりもやや薄い物がオススメ。そーすると、Cap3ぐらいの厚さは使いやすい。上と同様、寒ければレイヤリングで調整。

<新緑眩しい1,000Mクラスにオススメ>:「中厚以下 」でイイと思います。天気や場所によっては、「薄物にレイヤリング」の方が、日中にオーバーヒートしません。

残念な事に、天候・山域・それぞれの感覚まで分からないので、「予報」止まりでしたが、まぁ、「お悩み相談所」なんて、この程度です。貴方を完全救済するだけのピンポイントな物があれば悩み無用、初めから答え書いておきます。

で、「本日のまとめ」ですが、肌に触れるこの部分は「出来るだけイイ物を使う」を心掛けて下さい。5年間使った厚物は「使用・洗濯・使用・洗濯・・・」を繰り返すことで、生地は痩せドンドン劣化し、下手すれば「新品中厚」の方がよっぽど温かい。外見ばかり気にして、10万円のシェル買っても暑さ寒さを感じているのは貴方の皮膚です、「羨望の熱い眼差し」では寒さは凌げません!!。勿論、使える限り捨てる必要ありませんが、「1軍→2軍→3軍」と落として、実用に耐える状態での使用をオススメします。

「お悩み相談所」みたいなモノです、GW前の山道具屋なんて(その2-1)。

今日は「ベースレイヤ」についてです。で、今後、全ての回に共通して言えることなので、最初に申しておきますが、僕らが仕入の段階でウエア求めるのは、「1に素材、2にカッティング」、で「色やメーカーの好み」などおまけみたいな物です。道具屋に「カワイイ」を懇々と説明するのは無意味。要するに、1-2がOKなら、好きなだけ「カワイイ」の選んで構いませんが、最終的には外見より中身、実がない物は他あたって下さい。

<形状について>:半袖・長袖 / クルー(丸首)・Zipなんかがございますが、残雪期の山では「長袖Zip」がオススメ。日が昇れば、半袖TシャツなんかGWぽくて、画になるのですが、薄暗いうちから仕度してへッ電つけてアイゼンつけて歩き出すよーな山行なら寒くて無理。Zip物なら、汗かいてきたら開けて熱気を抜けますし、寒ければ襟元が温かい。「温度調整の利便性」という点で、この時期は「ロンT-Zip」が無難です。

<生地の厚さについて>:標高や山域によって変わってくるのですが、「薄いか厚い、でその中間」ぐらいしかないので、天気や現場の状況を考慮して選んで下さい。ちなみに、入山地点は標高が低いので「初夏」ですが、標高が高くなるにつれ、当然涼しくなります・・・。テント泊などでは、多くの着替えなど持っていくことも出来ないので、「一番厳しい所(寒い)」を想定した1枚を単体で着ていれば、「クソ暑い~!」なんて事はまだありませんから「軽量化」を徹底するなら、それ1枚で凌ぎます。「寝る時ぐらいは・・・」なら、予備1枚をRest着にして、翌日はまた「作業着」で行動して下さい。

<素材について>:現在流通しているものは、ウール・化学繊維・ハイブリッドのどれかに入ります。ウールの様な天然素材は、着心地が良いのですが、化学繊維に比べて、織り方の種類が少なく、構造的な限界があります。また、化繊との組合せでは静電気が起こり易いので、組合せを考えさせられます。

ホントは画像が撮れればこの後画像載せるつもりでしたが、2人だけでメーカー取立(支払日)やら接客してると、「いとちゃん、お昼食べてきてイイよぉ~」って普通に18時過ぎ、無理です・・・。そんな訳で、画像は明日に持ち越してネタ1コマ増やします。また無理なら、ストック記事からUPしますが、出来る限り頑張ります。ごきげんよう。

「お悩み相談所」みたいなモノです、GW前の山道具屋なんて(その1)。

春山や初冬期、シーズン終わりのシーズン始まりの山は難しい。「クソ寒みぃぃぃ~」とか「クソ暑ぃぃぃ~」とか、「クソ」がつけば諦めもつく。「仕方ありません、そーゆー時期なので」で話も早い。しかし、お休み連チャンのGW、お金の香りがプンプンするが、山道具屋さんには冬物はスカスカ、春夏物では心許ない、そんな危機を乗り切って勝ち組になるためにはどーすればヨイのか?。簡単です、「お悩み相談所」はじめます!。インチキ山道具屋としては「カウンセリング料」を頂きたい所ですが、そこまで人間腐ってないのでバックルームで毒吐く程度にしておきましょう(笑)。

「スミマセ~ン、この時期着る物どれですか?」って、迷える子羊はわんさかおりますが、「俺はお前のかあちゃんじゃねぇーての!」。出来ればもう少し具体的に質問してくれます?。頼む、せめて山域とか行動内容とか、ヒントくれ、ヒント。割と顔見知りなお客様ばかりなので仕方ありませんが、「私が今行きたい所、当然分かってますよね!?」ぐらいの勢いと思い詰めた面持ちで来店された日には、道具屋さん困っちゃいます。僕は貴方がお買いになった装備など、とっくの昔に忘れてます!。

「寒ければ着る・暑ければ脱ぐ」は普通ですが、「適当」では困る。レイヤリングの基本は、ウエアの「素材や機能に合った場所で使う」事が大切で、『肌にあたる所に吸湿・速乾素材のベースレイヤ、その上に保温層をミッドレイヤで作り、雨や風を防ぐためにシェルを着る』と言うのは基礎中の基礎。10万円のシェルを奮発して買っても、肌にあたるベースレイヤがヘボければ、10万円は10万円の価値がない・・・。

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こちら、『PEAKS 2010/No.5 特集◎雪山五番勝負』 でライターの宮川哲さんに冬山のウエアリングについて書いて頂いた時の号。3年前の話ですが、全然色あせていないので、真面目な人はバックナンバー探して一度読んで下さい。更に真面目な人は買って読んで下さい。

そんな訳で、「その2」以降で「ベースレイヤについて」・「ミッドレイヤについて」・「トップス(シェル)について」久々に書いてみたいと思います。3年間でウエアも進化してますが、「激変」とまではいかないので、「使える物は使う、無いものは買う」でお休み連チャンのGWの準備をして下さい。でもそれまでにブログの記事化可能なのか!?。手抜きはしないので、間に合わなかったらゴメン。先に謝っておきます(笑)。

それにしても、週末寒かった・・・。完全「冬」だね。